食肉報告

しゃぶしゃぶの概念を変える自信があります。


堂々とそう謳っている店がある。これは挑発なのか。
概念を変える。これはシニフィアンシニフィエの関係を変えるということなのか。
新間寿の言葉を借りれば、「しゃぶしゃぶ界に万里の長城を築く」ということなのか。
判然とはしないものの、
挑発されて黙っていては食肉道の一里塚には辿り着けないので、
シャブ中(しゃぶしゃぶ仲間)とともに代々木今半へ。


店はガチ。肉以外のメニューはなく、食い方も指定されている。
とりあえず、名物の8種類の塩で食べる牛舌しゃぶしゃぶをオーダーした。


タンは根元の一番おいしい部分だけを切り出している。
そして塩、とくにレモンフレーバーの塩。
肉と汗まみれで格闘するという食肉の醍醐味をあえて捨て去り、
アッサリ度を極限まで追求した納涼の一品。

その他、極上霜降り和牛。これは肉一枚が2000円↑。
渋谷センター街ではデフレの影響か、
Bobby Brown"Rock What cha"の中古盤が1800円程度でNow On Saleのこのご時勢。
それぐらいの相場観で裁定買いしたい一品と思っていただきたい。
味はオオトロ中のオオトロ。1枚で吉牛8杯分ぐらいの肉度。


最後に、極上ラムシャブにも挑戦。
歯ごたえ、脂感ともに、まさに格闘するにふさわしい男の肉。


関係ないが、「肉と格闘」のイメージとして、

I'm sorry,mama.

I'm sorry,mama.

の4章「肉と脂と女と男と汗」の中で、
殺人鬼のアイ子が、焼肉屋から盗んできた肉塊を互いの体の間に挟みながら、
知能障害のホームレスと性交するシーンの描写を味わっていただきたい。


この店は日本酒も充実しているようで、
柄にもなく「天狗舞」とかいうやつを飲んだら、
翌日へんなにおいが体から出た。


最後に、店主からの挑発が続く。
最高級の肉・酒、すべてどれでも食べてよい「酒池肉林コース」36000円也。
これ、男が試されている。
酒池肉林はそこにある。自分が逃げなければ。


ただ、最後に言わせてもらえば、
俺しゃぶしゃぶよりすき焼きの方が好きだ。
この意見は相当少数派のようだが、わかる人には、わかるはず。
もちろんすき焼きコースもあるので、次回はそっちに行きませんか?


(パイン)