今は気付かないだけ

一般的に物の価値は、
その物が将来生み出すであろうキャッシュフローの総計を、
現在価値に割りびいて求める。(収益還元法・DCF法)
つまり、価値は、将来の期待と信用でできている。


今後こいつはどーなんだ?変わってしまうのか?っていうのが、
価値を測定する際の第一の質問で、
それって、難しく考える必要はなく、
結構人付き合いで普通にやってることと同じ。


こいつ日和るんじゃねえかとか言うだけ番長とかが、
リスペクトされないのは、
期待とか信用をしにくいから。
そうなると、
こいつは行くとこまで行く奴だっていう、
継続するということの期待・信用が我々一人ひとりの価値。


もうひとつ、よく貨幣について言われることだが、
価値はそれを受け取る人がいるという期待・信用に基づいている。
人に手渡したり、提供できない限り、
価値は生まれない。
それを受け取ってくれる人がいるということで、
初めて価値が生まれる。
これが、我々が一人で生きているのではなく、
人に生かされているということの本質。


自分の価値観から出てきたもの、
それはつまんない考えだったり、
大層なプレゼントだったりするけど、
なんかそういういつまでも変わらない自分の芯の部分から出てくる何かを、
面白がったり喜んでくれる価値観のある人に向けて、
ずっとこれからも提供して、
共有していけると思えて初めて、
自分にも価値が生まれるのだと。


ついつい、日々の生活というベルトコンベアに流され、
訳わかんない境遇に陥ったりしてると、
見失ってしまいがちだが、
俺たちの肉体の中に暑いソウルが宿っているのは、
そういう共有=出会いを通じて、
最悪だけど悪くはないよね、
っていうあの感じが生まれるからかもしれない。


いまさらだけど、キヨシローの大名曲「わかってもらえるさ」
では、この感じが歌われている。

「わかってもらえるさ」

こんな歌 歌いたいと思っていたのさ すてきなメロディー

あの子に聞いて欲しくて ただそれだけで歌うぼくさ

この歌の良さがいつかきっと君にも わかってもらえるさ

いつか そんな日になる ぼくら何もまちがっていない もうすぐなんだ

気の合うともだちってたくさんいるのさ 今は気付かないだけ

街で すれちがっただけで わかるようになるよ

いつか君にも会えるね うれしい報せを もっていってあげたいんだ

(太字:感涙部)

THE RC SUCCESSION BEST ALBUM WONDERFUL DAYS 1970-80

THE RC SUCCESSION BEST ALBUM WONDERFUL DAYS 1970-80


今は気付かないけど、気の合う友達、
そんな人、きっといるはずで。
俺にとっては、ダンスの先生もその一人で、
いままでああいう、
ちゃんと自分の価値観と使命感もってそれを仕事として成立させつつ、
周りの人を勇気付けるような生き方してる人見たことなかったけど。
出会って、すぐわかった。


そういう、会社も学校も、
育ってきた環境も違うけど、
分かり合える謎の集団を、
Q-TipA Tribe Called Questと呼んだ。
種族のために生きる。
これはブラザー&シスターの中では、
常識なのかもしれない。*1
そういう部分に憧れている。
社会的文脈や帰属組織や出身校よりも、自分の価値観。
環境に押しつぶされないで、自分を開示していく。
そういうオープンさに価値があることはもはや明白だから。


そんな認識や、
ダンスの先生の目があったら微笑んだりするあのしぐさとかに触れるたびに、
やっぱりブラザー&シスターになりたいなと思うのだ。
これは、帰国子女に感じるオープンさへの萌えの源泉だろうか。
もしくは、精神の自由さへの憧憬だろうか。
で、海外暮らしとかしなくても、英語なんかしゃべれなくても、
そういうマインドを持つことは可能なんじゃないかって。
きっとそうなっていくはず。
今は気付かないだけで。*2
そんな感じで、夏だし、ミドルスクールつながりで、
De La SoulのKEEPIN' THE FAITH 聞いとけ。


(パイン)

*1:日本でそういう感覚・生き方のスタイルを、あの経済成長だけのバブル時代に一人伝えていたのが、シスター山田詠美。Soul Music Lovers Onlyなんて、基本中の基本。そんな詠美が、このたび祝20周年ということで、雑誌文芸で特集組まれてるんだけど、かなりやばいわ。これ。作家になった理由は、日本語を綺麗に扱える黒人女は私だけだから、と。詠美、海中の海、いい女過ぎる。でかすぎる。でも、それをわかるようになってきた自分もいる。キャステラ、必読でお願いします。

*2:だからこれ書いたのかも。今は気付かない誰かに向けて、とかいうとちょっと気取りすぎだけど。