小技で勝て

成功者は、どんな大舞台でも、明日のための修行の場とみなすらしい。
そして、修行について、微細にわたり反省をおこなう。
神は細部に宿るという。
過程を明らかにすることによってしか、改善はできない。
そして、「カイゼンに終わりはない。」
当たり前だが、今日は明日のための改善プロセスでなければ、
時間の中で生きる宿命は地獄になる。


カイゼンプロセス。
失われた十年をこえて、またぞろトヨタはすばらしい、
カイゼンはすばらしいという声がでてきてる。
トヨタカイゼンする習慣自体を強みにしている。利益は結果に過ぎない。
とすれば、習慣にはどれだけの経済的価値があるのかという話になる。
が、習慣に金や時間を集約的に出すには、なかなか勇気がいる。
過去の成功体験でその効果を知っているならまだしも。


この改善は、資源が有限である日本という国だからこそなしえたという話もある。
無駄がおおくても、無駄になるものの価値が微少であれば、それでいいかもしれない。
島国。粉雪。渡り鳥。ゆえ、モノを無駄にすることはできなかった。
これはLOHASではないか。LOHASは有限の意識に基づいている。
トヨタウェイは、プリウス以前からLOHASなのかもしれない。


人生が有限という意識は、27歳のときに持つものだ。
エリックホッファーもそうだった。俺もそうだった。
もう無駄にはできないと知れば、明日を今日よりよくする以外にない。
自分はゼロではない、1だ。ゼロは無限大に似ているが、1は1でしかない。
1を2にしようとするときに、カイゼンは、哲学になった。


わかったこと、
幸せになりたいとおもってもいいが、
楽になりたくて修行の過程から解脱すること自体を目的とするのはだめみたい。
カイゼンを続けることに疲れを感じないだけの精神的肉体的基盤が無いものにとって、
習慣をつけることがドンだけ難しいことか。


そして、そのような細部を捨象もしくは不可視化したところで、
結果の下に、大量の原因となる事実の集積があることを忘れてしまうと、
成功するためには成功したイメージを持て、目標を紙に書けというような、
マーフィー博士風の心理学のメソッドを機能させるのはなかなか難しいはずだ。
人と違う目標を持つことは大事だが、
だからといって人と違ってそれなりの苦しい過程を経ないですむわけはない。


とはいえ、習慣が鍵だということは、人口に膾炙しており、
斉藤孝〜ドラゴン桜下流社会インセンティブディバイドの流れを通じて不安をあおり、
川島教授の脳内訓練革命に至り、習慣自体が商売になってきている。
さぞかし、LOHASな流れである。
日本人の勝ちパターンは、すべてTOYOTAウェイに収斂するわけだな。


ちなみに、法学部時代の民法ゼミにいた、加藤君という人は、
なぜか知らないが、自己紹介カードの好きな言葉の欄に「脳内革命」と記載。
20の俺の度肝を抜いた。


(P)