父性憧れ

俺はもともと怠惰な人間であるし、というより、どちらかと言うと打たれ弱く、いつもお膳立てがあることを望んでいる節がある。物事がそんなに順調にはいかないという当たり前のパターンに慣れていない。
いまいちチヤホヤされないと不安になったり、「つまんね」みたいになる。社会に出て、とりあえず新人で会社の片隅に居させて貰ってる時などは、将来に渡ってその仕事をライフワークにするという発想も無かったし、見ず知らずの顧客(具体的には歳の離れた大手企業サラリーマン課長のキモチ)や日本社会への貢献の必要性がうまく理解できなかった上、新人で何もできないので誰からもチヤホヤされず、かといってそれを下積みとして意味づける筋肉質な精神も持ち合わせていなかったので、身の置き所が無かった。社会に対する帰属意識が不足しているのだろうか、自分がこの日本社会が安定して継続していくために、社会の片隅で何らかの役割を背負っている(もしくは社会的対価を払っている)なんて実感できない。だから、今たまたま引きこもっていないだけの気もする。別に働かなくて済むなら、それもありかと思うが、現実には生活するためにとりあえず働く、というかとりあえず会社に属するぐらいの感じ。よって労働中に、自分にとって必然性の無い、よく知らないモノのために労力を使っている感じは、今も続いている。
とはいえ、そういういい加減な半身の姿勢の適当さが格好よくないことも知っており、職人・プロ・修行への憧れも強い。人一倍強いだろう。また、自分が尊敬できると思える人間は多くの場合何らかの分野を極めようとする志の高さを持っている。人間性を高めるために必要となる厳しさを求めているところがある。それで外資系に就職してみたりしたのかも。
まとめると目的意識が希薄、一方で物事を極めたいと望む、でももともとあんまり打たれ強くないのですぐ疲れる。そういうのはどうなんだろうと、週末考えたが答えは風の中。

そんな感じの週末に読んだ本、
①元修行僧の著者が修行を通じて得た人類に関する知恵を開陳した
Ajari―密教、その生と死の技法
②日本屈指の機関投資家が経済的自立を目指す個人投資家に投資手法を開陳した
投資家から「自立する」投資家へ~企業の真のPERを知り、それに打ち勝つ自分をつくる~
補:その盟友のストラテジストによる同じ趣旨の本
景気予測から始める株式投資入門~個人投資家のためのトップダウンアプローチ~
③気鋭の思想家が流動化社会に対する意見を開陳した
「おじさん」的思考
いずれも、その道を極めつつある人の本で中身は甘くねえ。ホント甘くねえ。とにかく何らかの使命感に燃えている。内容も出し惜しみ無しで、半端なく真摯だ。そういう厳しさ、そして誠実さはどこから来るのだろう。自分にはない強さにどうしても引き寄せられる。
(パイン)