不毛地帯

年末、熱にうなされる枕元にあったのは、
上司が無理やり貸してくれた山崎豊子著『不毛地帯(一)〜(四)』。
不毛地帯 (1) (新潮文庫)


太平洋戦争時の大本営の軍人が敗戦・捕虜生活後、
総合商社に就職して巻き起こすドタバタ劇が描かれたトンデモ本であるが、
瀬島龍三がモデルとの噂もある。


印象に残るのは、ロシアに戦犯として尋問された際に、
相手の意に沿う答えをしなかった事から、
人が一人立ったまま入れる木箱の反省部屋に入れられ、
立ったまま眠るが下半身がしびれて眠れないシーン。


さて、そんな主人公は、
当然敗戦とともに自決のチャンスをうかがう、
その後捕虜になっても何度か自決のチャンスをうかがう、
しかしそのつど運良くか悪くか自決はできない。
その後、商社に勤め、仕事に限界を感じて、
辞めようとしたときダイモン(サイモンではない)社長はこんなことを言う。


「戦争だったら負けて腹切ればそれでええかもしれん、
しかしなあ、仕事はそう簡単に辞めれへんで」


サラリーマンは、継続することに意義があり、勝負しているわけではないのだ。
つまり、美学の成立を禁じられている。
これは、残酷な現実だ。

まだ最後まで読んでないけど、
シベリアの捕虜生活以上に、
商社マンの生活は不毛だという結論なんだと勝手に解釈した。

(パ)