ドッキドッキ夏物語のリクエスト

  • 夏だけに海な女に恋してる

懐疑論者の俺だけど、断言できることがあって、
「帰国子女の女子が好き、ドメ女比1.3〜1.8倍程度」というテーゼ。
キャステラに言わせると、
「乗りこなすのはもやしっ子には無理、理由はきゃつらは基本朝から吉牛だから」
企業側ですら朝から丼物はねえよなって配慮して朝定用意してる中で、朝飯が牛丼。
こういう直球勝負すぎて逆にフェイントっていう、意外性こそが帰国の醍醐味(この醍醐味を「天然」みたいな枠組みで了解するのは端的に間違い)。


さらに極上なのは、朝、ダー*1が寝てる間に天麩羅揚げて、赤だし用意する女(BGMはKC&ザ・サンシャイン・バンド)。で、ダーに、寝起きにこんなの食えるかと鉄拳食らって、トイレで泣く女。今、俺たちが選ぶ「ミス・同棲時代*2」はそんな女。

  • 武士道、の、ようなものだ

そんな極上のクイーンにいつか出会えるはずだって、ずっと夢を見て安心してた俺は自他共に認めるとんだデイドリームビリーバー。
夢見てる間に時間が流れ、もうすぐ30だから座右の銘を"Don’t Trust Over30"から変えないといけなくなってきた。そもそも、Trustには任せるという意味もあるわけで、人任せをするかしないかなんていう選択の余地はもはや無いわけだし。これは、先日のGoro's Barにゲストで出演した石田ゆり子姫が「30までは男都合だったけど、今は自分を持つようになった。職人が好き。」と発言したことにも顕著よね。


しかも最近、本場博多よりも旨い豚骨ラーメンを給することで名高い用賀駅徒歩2分の大牟田ラーメン柳屋のラーメンの濃厚さについていけず、大好物をちょっと残したという事件があり、体力落ちてきたかな?みたいな下り坂感を覚え、異様に寂しくなった。

若さは無限なものだと今まで思ってきたから。つまり人生は有限なものだということ、つまり死を意識させられてしまった。


田坂広志氏がどこかで述べていたが、人は戦争・大病・懲役が自分に訪れたとき、初めて生きることに深く目覚めるという。つまり、死の意識が人を覚醒させる。ラーメン食えなかったときは俺の擬似メメント・モリなので、俺も覚醒してしまったわけだ。
また、論語の「四十にして惑わず」という言葉が本当だとすると、後10年で何者でもなければ、まあその程度の人物としてその後そこから上がり目が出ることは難しいと決まってしまう。そういう時期だ。
(参考:http://d.hatena.ne.jp/sixdayboys/20050330


そうなってくると、もう、自分と関係のないものとは縁を切りたい衝動に駆られる。つまり、生きるうえでの優先順位が変わる。社会への適応や、周囲の人々を優先する態度から自分にとって大事なことに正直になるしかなくなる。いわく、納得のいく人生を送りたい、他人の目ではなく、自分の手に人生を取り戻したい、等等。グラマラスのイタリア合コンに行く女子が30前後であることもその表れだろう。
ただでさえ、日本経済のパイ縮小、歳を取って恋愛のチャンスも減っていくように感じる。このまま終わってたまるかという、犬神助清的怨念は、何もかもが表層的な世の中で平和ボケして生きてきた世代にとって、初めてとも言える生命根源からの叫び声だ。

叫び声 (講談社文芸文庫)

叫び声 (講談社文芸文庫)

そんなパラダイムシフトが起きると、人の顔色伺って拍手をいただく矮小さとか、隷属的な精神に囚われる自体の不自由さとか、日常にいくらでも納得いかないことが転がっていることに気付く。ゆり子姫の転換も、きっとそんなプロセスの末出てきたはず。そしてそこで改めて、セレブという概念が浮上してくるのだ。

  • セレブの本質

俺のカズンは合衆国とのハーフで、つまんない仕事はしたくないっていって、ビバリーヒルズでヨガマスターやってるのだが、これがちょうどセレブブームの時流に乗って大繁盛し、今やミリオネーゼ一歩手前。で、その妹が弁護士なんだけど、ホントにアリーmyLove的な忙しすぎる仕事と自分探しやら何やらに追われているのを見て、彼女は"Bore"と一言。
弁護士なんてステキという通念からの同調圧力もものともしない、レールに乗らない物腰、これは冒頭のストレートすぎて逆にフェイントっていう、意外性の醍醐味だし、セレブってそういう身も蓋も無いニーチェ的超人主義(肯定主義)みたいなものが根本にあるわけだ。


今をさかのぼること10年前に突如今で言うセレブの草分けとして登場し、理念的にも肉体的にも早すぎる死の悲劇を生きた斎藤澪奈子のベストセラー「超一流主義」も今読むと、このストレートすぎて弱体化した家畜的な人間には変化球に見えてしまうと言う荒唐無稽なまでの価値転倒試みだったわけで、キャステラに借りた「ヨーロピアン・ハイライフ」と併せ、年に一度は声に出して読みたい日本語だ。

超一流主義 (角川文庫)

超一流主義 (角川文庫)

セレブの古典である本書において、アッパーであるとは「ディグニティを持つこと」で、その裏づけとなるのは「動物好き」「腕力」「ポジティブシンキング」などである。ここでも、超人主義が。しかも「腕力」と名指しされている。思えば、カズンはいつも俺との別れ際に「体を鍛えないと、男の子でしょ」と言ってHUGをするのだった。なんかこの辺が、アングロ・サクソン的思想の本質なんじゃないかと。*3このカズンがもし、自分の実の母だったら、育成方針は全く違うものになっていただろうし、恐らく「無気力・無関心・無感動な平和ボケした若者」にはならなかったと思う。Des'ree / You gotta beみたいなママだもんね。*4


  • これは「ディグニティ」の差ですか?

会社に、超恐い部長がいて、背が190ぐらい、顔が大前研一を鬼にした感じ、声がメチャ低い。コードネームは牛魔王。その人は、バブル期にはトップ営業マンとしてとんでもない記録を出したらしい。強引とも言えるトーク、オラオラ営業ながら、客は彼を信頼する。実際、お客さんにも小細工なし、準備なしで言いたい事だけ言うとの評。それでも、お客に信頼される。
逆に、日々、お客さんのために徹夜で一生懸命提案資料準備して、緊張しながらもロジカルにロジカルにいろいろ話してて、貧乏暇なしな人もいる。


いい会社に入っても、難しい資格試験に通っても、本当の市場価値をめぐる競争はその先にある。使う人、使われる人やっぱり出てくるわけで。法律事務所で働いたら、周りは全員弁護士だから、「ディグニティ」とかで差をつけないといけないわけで。
人としての「ディグニティ」というファンダメンタルが毀損している状況では当然貧乏暇なしで、いくら買い支えても下降トレンドは止まらない。
例えれば、ディグニティなしに仕事をしている場合、周囲への気遣いとか不安・心配等常に過剰な努力が付いて回る。まあ、そういう人は多いから、「絶対交渉に負けない心理術」とか「ヤクザの交渉術」とかそういう本も多い。その中で、バンドラーのNLPなんてよくできているものもある。でも、そういうテクニックは対処療法ですよ。骨が折れてるときに、ギブスもせずに痛み止めを一生のみ続けている状態でのラットレース。


成長のためには創造的破壊が必須で、常識を破る人間がどうしても必要になる。右肩上がりでない時代には特に、とかって言われるけど、そんなの余程テンション高くて、独自の道を爆走する人じゃないと無理でしょう。だからこそそういう人は、他人を使う側に行くのだし。使われる側が嫌でも、常識の規定路線を破っていくのには人並みはずれたエネルギーが必要で、まさに「もやしっ子には無理。」の最たるものだろう。

  • 脱もやし

このエネルギーと言うのは何というか、イメージとしては主体(システム)と外界(環境)との関係における浸透圧力の問題だと考えている。つまり、もやしっ子は他人なり社会なりの圧力を受けて凹み、これに侵され従わざるを得ない。で、人は木を見て森を見ないことが多いため、凹んだときにそれをファンダメンタルな問題としては認識せず、アイツむかつくとか、これは苦手とかっていう個別論に回収してしまう。しかし、実際にはより圧力がある側がイニシアチブを持っているわけだから、個々の局面での勝ち負けを考えていろいろ小手先でやるより、平熱を体温計で測るように自分の持っている恒常的な圧力を見極めていかないと。この圧力の水準は物理的に自分と環境とのフィードバックループの質を決定してしまうわけだし。


そういう意味で、圧力対応として、当たり前すぎる結論かもしれないが、「腕力」強化のボディビルしていくしかないんだろうと。ボディビルで圧力を増やすこれは実体として増やしていく。会計的に言えば、自己資本の充実を図る。
で、キャステラいわく、「筋肉だけじゃ駄目、心拍数が大事」とのこと。これ、テニスでマッケンローがボルグと戦ったときに、ボルグの心拍数が36回/分であったため、マッケンローがどれだけ汗をかいてもボルグは息一つ乱れないことから、マッケンローは心理的なダメージを受けたことを根拠とする。ハートが強いって言うのはこういうことを言うんだろう。息ひとつ乱れない奴の圧力、これはフィジカルな体自体の圧力を倍増してくれるだろう。会計で言えば、資本回転率だ。


アングロサクソン化というのは、こういう根本的なファンダメンタルの強化のことであって、心理テクニックではない。ほとんどの女子も「筋肉好き」を公言してはばからない事実もあるし、チャックウイルソンさんも少年院入りを繰り返す少年期を振り返って、

あの頃の精神状態はおかしかったね。自分が無さ過ぎた。グループを外れる勇気が無かったんだよね。離れたら苛められたりするから。でも筋力トレーニングをやり始めてからは自信も付いたし、その分野ではまあ強い方だったから離れても誰も反対しなかったね。
(その後、モテモテになりやりまくりで性病をもらうという本題へと話は移る)


詳細は、圧力問題を考える上での必読書↓参照

人間コク宝

人間コク宝

圧力って、全身から出る見えない力なわけで、これが運命を左右する割合は高い。アングロサクソン生活を身をもって知っている帰国の子達は、だから朝から牛丼なんだろうし、あとテンション高いと圧力あるから、暇があればチョコレート食ってる。
この辺のテンションの明るさ、包み込むような暖かさこそが「ドメ女比1.3〜1.8倍程度」の秘密よ。

  • それなりの必然性

余談だが、圧力を身につけた際の、仕事における波及効果はでかいと思うよ。
貧乏暇なし状態から脱するだけではない。パラダイムシフトによって、環境の奴隷であることを辞め、適応のためではなく自分のために働くようになる。常識を超えていくイノベーション突破力が付く。
つまり、もはやひとにパーツとして使われるためのスキルを磨くことを目的とはせず、自分の興奮、そして実利をどこまでも追いかける狩猟のココロが。

でも、本来仕事はそうあるべきではないのか。給料を貰うためにこなす必要があるものが仕事だという考えでは少なくとも俺の場合、やる意味無し、義務感のみという状態。
そうじゃなくて、自分で金鉱見つけてきて生み出して、リスクとって、リターンも欲しいだからやるっていうぐらいじゃないと、いつまでも当事者意識など出てくるわけ無い。
だって、会社に飼われてるだけじゃパーツだもん。パーツに意志は要らない。意志が無いのに当事者意識があるワケない。で、生活を維持する最低限の賃金を貰って、定年まで諦念をもってそれを続けると。生きるために働くんじゃなくて、働くために生きる状態。


自分が儲けることができる金鉱見つけてきて、リスクとってそれを掘る。掘る。ゴールドラッシュのために、会社に行くというワクワク感があったらいいよね。
(イメージ的には、この本が近い)

原宿ゴールドラッシュ 青雲篇 (エンジェルワークス文庫)

原宿ゴールドラッシュ 青雲篇 (エンジェルワークス文庫)


そして、出てきた金は自分が貰ったその先のいい生活。GOODLIFEのための仕事。
もちろんBGMはBobbi Humphrey / Good Life。
それでこそ、自分の全てを賭けられるのではないのかと。

セレブ界では人口に膾炙し手いる慣用句として、「Living Well is The Best Revenge(贅沢は最大の復讐である)」というのがある。清貧の思想に魅力は無い。強欲は罪ではない。それは美学だと肯定しないと、やる気なんて出ない。
土光敏夫がめざしを食ったのはそれが魅力的であるというより、体にいいとかそういうことだ。ちなみに↓)

日本人には「清貧の人」「清貧の思想」に強い思い入れがある。どうしても土光氏などがプラスイメージで捉えられる。反対に開発をどんどん進めるような政治家は悪いイメージが持たれる。ましてやこのような人物がスキャンダルで失脚すると、めちゃくちゃに扱われる。しかしこの土光会長に代表される「清貧の思想」が往々にして国を窮地に追込むのである。
http://www.adpweb.com/eco/eco286.html

前のコンサル会社でも稼いでる奴は皆理論家というより強欲な奴らだった。50近くなって、気に入った女の子の家まで押しかけて行くぐらいのギラギラ感があった。まさに、野獣死すべしとかの70年代角川映画的なギラギラの圧力。
そいつらは会社に行って金を貰うっていう回路じゃなくて、自分が大きく当てるため(または快楽を得るため)だけに動く。もはや、粛々と仕事をしていくよりイッパツ当てることが目標になってる。で、なぜか生き生きとしている。

もやしっ子は、圧力が足りないから自分の意志や欲望が外界に伝わらない。で、いつも、他人の要求に小突き回されていつまでもあくせくする貧乏暇なし。でも自分の内側からあふれ出るような情熱も自分の意志もないので、苦痛で苦痛でたまらない。*5


一方強欲な奴は、原理的に精一杯動くのでその限りで他人に利用価値ありと信用されて結果を出したりする。しかも彼らは、圧力があるので勝負強いし、常にダイヤモンドを探しているから、あきらめないから。


で、そいつらはあきらめないで、圧力で女子の壁も壊していく*6、日常の小さな不自由さを壊していく。欲しいもののために、朝から牛丼食ったりできる元気がある。
でも、誰でも人間同士の関係は圧力に左右されるしかない。あの子との壁を取っ払おうと思ったら、欲望に忠実になるしかない。キープザフェイス。筋肉と強欲で、日常生活を突破していく。


人生は有限で贅沢は復讐。そんな夏にしたいので、Jazzy Jeff & Fresh Prince / Summer Timeをリクエストします。


(パイン)

*1:桃ちゃん以降この呼び方しない女子は逮捕

*2:言うまでも無く初代は大信田礼子

*3:とはいえ、早坂茂三田中角栄の印象的な言葉を記録した名著「オヤジの知恵」にも、「腕力がないと自信はつかない」と言うような記述があったはずなので、アングロサクソンに限った事でもない人類普遍の法則なのかも。

オヤジの知恵 (集英社文庫)

オヤジの知恵 (集英社文庫)

*4:感情が欠損しているACの子はACになるという説もある。詳細は、

家族のなかの孤独―対人関係のメカニズム

家族のなかの孤独―対人関係のメカニズム

親世代が無気力・無関心・無感動な世代であったことがセレブブームを用意したのかもしれない。

*5:よく、スキルをつければ他人の要求に小突き回されなくてもいい的なプロパガンダもあるが、それは端的に間違い。前述の通り、資格やスキルは他人に使われる立場を保証してくれるものでしかない。

*6:そもそも自分より圧力弱い男がすごく好きな女子って、あんまいないと思う。いつだって、「喧嘩は自分が甘えたい人自分の理解を教えたい人」なのだ。Best Selection15曲目マスト