抜刀感覚

いつでも会社を辞められるようにと辞表を持ち歩いているサラリーマンがいる。
辞表だけ、そんなのは飛車角落ちで日本シリーズに挑戦するようなものだ。
不測の事態に備えるというなら、それだけでは不十分、
侍が脇差と小太刀の二本を差したように、
辞表と併せてラブレターをセットで持ち歩いてこそ、
初めてリスクマネジメントと言えるのではないだろうか。


しかし、推敲に推敲を重ねるうちに、それはいつしか貴方にとっての伝家の宝刀になる
そうなれば、もはやリスクマネジメントの手段ではなく、
それ自体がリスクだ。
即ち辻告白や辻退職だ。
ひとたび、伝家の宝刀を抜く瞬間、つまり抜刀感覚を味わえば、
それにより得られる快楽は、それ以外の方法で得られないと気づくはずだ。


つまり、磨き上げられた男ってのはリスクそのものだ。
キャステラ